黄色い車

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私は黄色い車が好きではない。

 

小学生のときに読んだ小説に出てきた自閉症の少年が「黄色い車を3台見た日は悪い事が起こる日、赤い車を3台見た日はいい事が起こる日」と言っていた。だから黄色い車にはあまりいいイメージがない。

 

もうひとつ、同じようなきっかけで良いイメージがなくなってしまったことがもうひとつある。

 

小学生の頃に嵐がとても大好きで、よく観ていた「ひみつの嵐ちゃん!」という番組があった。嵐のメンバーが理想のデートを話して、女性陣がモテ嵐かダメ嵐かを判定するコーナーがあったのだが、そのとき翔くんが「彼女ができたら映画館デートがしたい」と言っていた。何故か女性陣からもの凄い非難の嵐だった。だから映画館デートにもいいイメージがない。

 

もちろんそれぞれにはちゃんとした理由がある。まず黄色い車だが、自閉症の少年が出てくる話はアメリカ人の作者が書いたものだった。黄色を英語にすると「Yellow」。Yellowはあまりいい意味で使われないことがある。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」では、主人公のマーティが

'Are you yellow?'(あんたは臆病者か?)

と言われ、

''Nobody calls me yellow"(僕のことを臆病者だと誰にも言わせない!)

とブチギレるシーンがある。調べるとyellowには「臆病者、卑怯者」という意味があった。だから自閉症の少年は黄色い車を見る日は悪い事が起きると言ったのだ、と私は解釈した。

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また、翔くんが女性陣から非難を浴びたことも理由があって、「映画を観ているだけで自分は彼女のことを楽しませようとしていない」という意見があった。そのときに私は、自分が友達を誘って映画に行ったことや、従兄弟と一緒に部屋でテレビを観ていたら母親に「遊んであげなさい」と怒られたことを思い出して、「確かに楽しそうではなかったな」と反省した。

 

黄色い車も映画館デートも、別に気にするほど大した話ではない。それは私にもよくわかることだ。そうは言っても小学生ぐらいのときに植え付けられてしまった誰かの勝手な価値観を自分の中で納得してしまって、それがなかなか頭を離れてくれない。幼い頃何の理由もなしに言われたことは思い出せないが、小学生になってある程度経験や知識を積んできた年頃だから納得できてしまったのだ。無意識のうちに、「黄色い車か…よく買う勇気があるな」とか「観たい映画があるけど、友達や彼氏を誘うのは如何なものか」と今でも思ってしまう。これからも、黄色い車を購入して乗ったりはしないだろうし、映画館デートなど、ただ観るだけのイベントに自分から誘ったりはしないだろう。そして、その偏見は自分の選択肢を狭める結果になっている。

 

だからといって、本を読まなければよかった、テレビを見なければよかったと思うことでもない。ある一方では害をもたらすが、ある一方では得になる。私はその本を読んで小学生ながらにして素数のことを知った。また、その番組を見て、嫌な事を忘れたり、友達の会話に混ざったりして、新しい友達を作ることもできた。悪い事ばっかりでもない。人格や好みが形成されるというのは、こういうことなんだろうな。とただただ思う。